まぼろしの牧場?

  天王川トロン温泉の前の道を、さらに行けば「牧場がある」というハナシを聞きつけて、普通乗用車でそちらの方へ行ってみることにしました。 聞くところによると、「その牧場には売店があって、牛乳やらチーズやらを売っている」とか。 

  トロン温泉の前を過ぎてもう少し行くと、道幅が更にせまくなる感じで、車1台がなんとか通れるぐらいの道になります。 そんな、崖沿いの森のはるか下に清流を見下ろすような道を、ひたすら走ることになります。  そのうち、その道の舗装が途切れて、あちこちに小さな岩が地雷のように埋め込まれたデコボコ道に入ります。 片側は屹立する杉林の中をどこまでも下へ下へと伸びていく崖、もう片側は、重力を試すかのような大岩小岩が張り付いている側壁。 そんな道を、地雷を避けながら、そのうち牧場にたどり着くだろうという期待感と、先のみえない不安感をバランスさせながらなんとか進みますが、行けども行けども森の中を進むばかり。 そのうちに、良くて、岩石を埋め込んだモトクロス場で車の腹をしたたかに打ち付けるか、悪くて、落石に打たれるか奈落の底へ滑り落ちるか、どれかしかなさそうに思えてきて、ついに挫けて、途中のなんとか切り返せる場所でUターンしてひき返してきてしまいました。 午後6時の夕暮れもせまってきていました。

  後で、カフェ・デュ・バディさんで訊いたら、「あそこは2度ぐらいくじけないと、たどり着けない場所みたいですよ」とのこと。 そのうえ、なんとかたどり着いても、牧場の門は閉まっており、売店なんかないフツーの畜産牧場である、とのこと。

  途中で挫けて正解だった、と自分を納得させたのでした。

 

 このまぼろしの牧場・・・いわき鶴石牧場に行き着くためには、途中の分岐点で紛らわしい看板に惑わされないことが肝要です。そこで間違うと、・・・ハマリます。 

                             2010年3月16日

眼下の彼方に入遠野の里がみえます(撮影日は別の日です)
眼下の彼方に入遠野の里がみえます(撮影日は別の日です)